価値観が違っても、仲良くすることはできる

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価値観が違っても、仲良くすることはできる

先日、素敵なご婦人との出会いがありました。

正確な年齢は内緒だったけど、80歳過ぎで、真っ赤なベレー帽をかぶって、ちょっとオーバーサイズの黒のジャケットをかっこよく着こなした、白髪の美しい女性でした。

 

カフェに入ったら、たまたまカウンターの隣の席に彼女が座っていたのです。

一見しただけでオシャレな方だなと思っていたら目が合って、ニコッと笑って「ねぇ、お願いがあるんだけど、聞いてくださる?」ですって。

もうその瞬間に落ちてました、彼女の魅力に。

なんか、ドラマの中の登場人物みたいじゃないと思って。

なんでも言うこと聞きますよ、なになに?って食い気味にお返事したら、眩しいからブラインドさげていただけません?って。

きゃーもうかわいいと思って、全力でブラインドさげました。笑

 

そのご縁で、そのあとたくさんおしゃべりしました。

お住まいはちょっと遠いのだけど、観劇のためにバスに乗ってやってきたこと。

ずっと憧れていた演者さんの舞台に興奮して、落ち着こうと思ってお茶していること。

お日様が差してきて眩しいと思ったところに私がやってきて、甘えちゃったこと。

趣味や家の仕事のこと、ご主人や家族のこと、いま読んでいる本のこと、ボランティアで参加している市民活動のこと。

 

初対面の人と話していてこんなに楽しいと思ったのは初めてかもしれません。

とっても楽しそうに話されていて、どんなお話も面白かったです。

 

そんな中で話した、家族の話のとき。

私が「(家族といえども)やっぱり感謝の気持ちはちゃんと伝えてほしいですよね?」って聞いたら、彼女はキョトンとして、

「そう?それってなんだか、他人行儀過ぎない?家族なのに」って言ったんです。

「いちいち言葉にしなくても、わかるわよ」って。

 

無理してる感じなんて一切なく、嫌味な感じでもなく、本当に当然のように。

 

そのときに、「万人に共通するあたりまえ」なんてないんだなと実感しました。

 

よく聞きませんか?

感謝の気持ちが大事って。

夫婦であっても、親子であっても、恋人や友人であっても、誰かが自分のために何かしてくれたら感謝しましょう、ちゃんと言葉で気持ちを伝えましょう、って。

思ってるだけじゃ伝わりませんよ。

それが人間関係のコツですよ、みたいな。

本や雑誌やテレビなんかでもよく聞くし、自分もそれが当たり前だと思っていて、感謝するべきだと思ってたし、感謝の言葉がないと不満に思うこともありました。

 

だけどそれって別に、あたりまえのことではないんだった。

 

感謝してもらうのはいいものだけど、一方でいちいち感謝の気持ちを言葉にしなくてもわかり合える人たちだっている。

むしろ言葉にすることで他人行儀に感じる人だっている。

 

感謝だけじゃない、自分が正しいと信じているどんなことだって、唯一絶対なわけではないし、むしろ正反対のことを良しとしてる人もいる。

時代が違えば、場所が違えば、人が違えば、考え方も異なる。

 

自分と違う考え方には違和感がある。

彼女の返答を聞いて、私が「え!いやいや感謝はすべきでしょう」と思ったように。

そしてもしかしたら、相手の女性も「まぁなんて器の狭いこと」って思ったかもしれない。

 

だけど、あの時はお互いに「そうか、そういう考え方ももちろんあるよね」って思えたのです(少なくとも私は思えた)。

考え方が違ったって楽しく時を共にすることはできるんだなと、私はこの女性と出会って学びました。

 

年齢も、今まで生きてきた環境も、今過ごしている日常も全然違って、それゆえに考え方にも違いがあるけど、そんなこと関係なく、人は人と出会い仲良く過ごすことができるのですね。

自分と近しい価値観、遠い価値観。そんなところも楽しみながら、人との出会いを歓迎していきたいなと思った一幕でした。