見習うべき人は身近にいる

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見習うべき人は身近にいる

母の作る料理は、どれもとても美味しい。

手間ひまかけた凝った料理というわけはなくて、パーティ料理のような華やかな食卓というわけではないけれど、いわゆる”母の手料理”をいつも愛情たっぷりに作ってくれる。

から揚げも、かき揚げも、炒り豆腐も、ポテトサラダも、魚の煮つけも、煮豆も、カレーも、いつも美味しい。母の味だ。

 

そんな母に、最近変化があった。

お菓子作りを始めたのだ。

 

料理は何でも作れるし、買うより自分が作ったものの方が美味しいと本人もわかっていて、なんでも作る。

味付けなんて傍から見てたら適当にやってるようにしかみえないけど、いつもうまい具合に、ぴったりと絶妙に母の味に着地する。

 

一方、お菓子作りをしている母を子どもの頃から見たことがなかった。

若い時から使っているレシピ帳には、クッキーもショートケーキもシュークリームも大福も、定番のお菓子のレシピはしっかり記載されているにも関わらず。

お菓子作りはあまり好きではないみたいで、私たちのおやつはもっぱら市販品だった。

 

そんな母が、最近めっきりお菓子作りにはまってる。

この冬だけでも、イチゴ大福、アップルパイ、ビスケット。どれもお店の味がする。

贅沢な材料で作られた美味しいお菓子をよばれながら、どういう心境の変化なのか聞いてみた。

こたえは一言「ちょっとやってみようかなと思って」。

 

たぶん何十年もお菓子作りなんてしてなかった。

実家のオーブンレンジは、オーブン機能が壊れてしまってて、でもレンジ機能だけで今も現役選手だ。それで何の問題もないくらい、お菓子を作ってなかった。

そうして還暦も過ぎた母が、”ちょっとやってみようと思って”新しいことにチャレンジしていることが、かっこいいなと思う。

 

やってみようと思っても、なんだかんだ理由をつけてやらなかったりするものなのに。

レシピを調べて、材料そろえて、オーブンはないから娘の家で焼かせてもらって。

そしたらあっという間に、こんな美味しいお菓子ができてしまうんだな。

 

見習うべき人は身近にいる。母の姿に励まされる。

私も停滞している新しいことにもう一度取り組んでみようと思う。

そして彼女に、最新式のオーブンレンジでもプレゼントしよう。