『これが最後だと思ったら、15分待つ踏切にすら、喜びが出てくる』
ひすいこたろうさんの『あした死ぬかもよ?』を読みました。
- 作者: ひすいこたろう
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2012/12/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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実は数年前にも一度読んでいて、でもその時は特に感じることもなくさらりと読み流してしまったのですけど、最近ご縁があってまた手元に巡ってきたので、再度開いてみたわけです。
あら不思議。以前はなんであんなにつるっと読み終わっちゃったのっていうくらい、たくさん感じるところがありました。
これが最後と思って生きると何が変わるか
名古屋に「あかずの踏切」といわれた踏切がありました。
名鉄とJRが交差して、長いときには15分も踏切があかなくなります。友だちは、そこを一度通ることがあって、やっぱり15分近く待たされ、すごくイライラしたそうです。
それから数年。その踏切が取り壊され、なくなることを新聞で目にしました。もう二度と通れない踏切だと思ったら、友だちは、「あのとき、15分待ってよかった」と思ったそうです(笑)
(ひすいこたろう『あした死ぬかもよ?』 より)
もうね、人生ホント、これに尽きるなーと思います。
嫌だいやだと思ったり、イライラしたり、不満を感じたり。
そういうことって生きてるといっぱいあるけど、ここに来るのは今日が最後、この人に会うのはこれが最後、これを食べれるのは今回が最後、ってなると何があろうと、これで良かったと思えるのですよね。
ほとんどのことは、これが最後だとはわからずに過ぎていく
ほとんどのことはこれが最後ってわけではない。
憂鬱な職場にはよほどのことがない限り明日も行くし、あの意地悪な上司はたぶん明日も意地悪だし、子どもは明日も言うこときかずに好き勝手やるし、家族は明日も特になんの感謝もなく出された食事を食べる。だろう。きっと。
そういう些末なものに紛れてしまうから、本当に最後になるものをつい見過ごしちゃう。
まぁだけど、その方がいいこともたくさんあるかもしれないけどね。
大学の卒業式の日に、今日が終わったらもうこのメンバーで、あのゼミ室で、夜通し作業することも、ジャンプを回し読みすることも、教授にたかることもないんだと思いました。
そしたら涙が止まらなくなって、家になんてとても帰れなくて、もしかしたら時間を止められるかもしれないと思ってカラオケで歌い続けました。
あの夜のエネルギーを毎日放出してたらたぶんあと半年ももたずに死んじゃう。
これが最後だと思って今を生きる大切さを想いつつ、そして時にはやっぱりこれが最後だと気を引き締めて親孝行なんかしちゃって、でもほとんどのことには、やっぱり行動は伴わずに「あぁー、今日もイライラしちゃったなー」なんて思ってるくらいがちょうどいいのかも知れない。
とても素敵な本でした。いま読めて良かったです。